[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック

・出会い

 青く澄んだ空。テラという世界の中にある星ガイア。
この世界には科学なんてモノは存在しない。その代わりに魔法という力がある。
何もないところから火を出したり、風を起こしたり…。この世界の住民の半数がそれを使える。ただ、全員が使えるわけではない。素質とか体質とかによって人それぞれなのだ。
そんな世界のガイアという星のとある場所。ここは王都のある、ジェニス大陸の南の町ラグーン。ここは王都の次に魔法研究の盛んな町だ。
その町の中、一人の少年は『魔法士学校エターナル学園』と書かれた門の前である決意をしていた。世界で一番の魔法士、ウィザードになろうという決意だ。
「絶対、オレはウィン様みたいにりっぱな魔法士になってやる!これでオレは女の子にもてまくりだーー!」
「うるさいわよあなた。」
「誰だよおまえ?おまえも新入生なのか?」
 少年の後ろから少女がやってきた。なかなか可愛い子だ。
「うるさいし、邪魔なのよ。そんな門の前に立ってもらうと。」
「そうじゃなくて、誰だって聞いてるんだよ!」
「私?私はサキ。新入生よ。そういううるさいあなたは?」
「うるさいは余計だ!オレの名前はリィート=シークエンスだ。」
「!」
「どうした?」
「お兄ちゃんと同じ名前…。」
「知らないよ、そんなの。」
「でも全然違う。お兄ちゃんあんたみたいに馬鹿じゃないもん。」
 リィートはずっこける。
「誰が馬鹿だよ!って何無視して入って行ってんだ。」
 サキはリィートの声には反応せずスタスタと学園の中に入っていった。
リィートは何故かサキという少女が気になり走って追いつこうとした。
「なあ。おまえさっき…。」
「おまえってやめてくれない?名前教えたんだから。」
 くるりとリィートの方を振り向いてサキが言う。
「あーごめん。サキってな、兄貴いるんだろ?そいつもこの学園にいるのか?」
「正確にはいた…よ。」
「え?」
「私がまだ二歳くらいの時に訓練の最中に事故にあってね…。優秀だったって言うのはお母さんからよく聞かされたわ。」
「じゃあ、ここに入学した動機って…。」
「お兄ちゃんの事は関係ないわ。ここに入学した理由は、私を病気から助けてくれた魔法士さんがいて私も人に感謝されるような魔法を学びたいと思ったからなの。」
 サキは笑顔でそう言う。その顔を見てリィートは思わず顔を赤くしてしまった。
「て、何で私がそんなこと初対面のあんたに言わなくちゃいけないの。」
「サキだってオレの事おまえ扱いじゃねーか!」
「はいはいわかったわよ、リィート。」
 軽く手を振りながらサキが答える。
「でも、サキは偉いな。自分のためじゃなく他人のために魔法を知りたいなんて。オレなんて自分の事ばっかりで…。」
「例えどんな目標でもそれに向かって頑張るって言う事は大切じゃないかな?私はそう思うな。」
 サキの言葉にリィートは少し照れながら下を向いた。
「ありがとうな。意外にいい奴だな。」
「意外で悪かったわね!」
「でも目標は違うけどこれから同じ事学ぶんだからよろしくな!サキ。」
「ええ。よろしく、リィート。」
 二人は手を出し握手を交わした。







 エターナル学園の職員室は普段は静かだが、今日は騒がしかった。新入生を迎える準備のためだ。
 騒がしい教室から離れた学園長室ではいつもどうり静寂な空間が広がっていた。そこには二人の男女がいた。
女は二十歳を過ぎた辺りの若い女性。物静かなイメージである。
「いよいよ入学式ですね。ちゃんと挨拶には出てくださいよ。」
 繊細な声で女性が話す。
「わかっている。」
 男は身長が高く、整った顔をしている。年齢は女性より少し年上といったところだ。
「メル…。今年はあの子の妹が入ってきたらしいね。」
「はい。可愛い女の子ですよ。素質もあります。あの子の妹ですから。」
 メルと呼ばれた女性は入学者名簿を見ながら答えた。
「あの子と同じことにならなければ良いが…。」
「大丈夫です。百年にあるかないかの事ですし…。私も注意しますよ。もちろん、あなたもですよ、ケレル。」
 優しくメルがケレルの顔を見る。
「あんなモノなければ良いのにな。」
「そんな事言ったらダメですよ!あれはあなたたちが守らなければならないのです。次の犠牲者が出ないように…。それにあれがなくなるということは掟に背く事。」
「わかっているよ!それでも私の不注意であんな事に…。」
ケレルは机を一瞥した。その中に入っているあるモノを憎むように。
「悪い偶然が重なったと言う事ですよ。あの子も後悔はしてないはず…。あまり自分を責めないで下さい。」
「ありがとう、メル。」
「はい。じゃ、そろそろ行きましょうか。魔法士最高団ウィザード、ケレル学園長。」
 ケレルとメルは学園長室を出て講堂へと向かった…部屋にはしっかりと鍵がかけられたのだった。







 広い広い講堂。そこは、学園内の全ての生徒、先生が入れるほどの広さだ。とは言っても、ここの生徒は三百六十人と少ないのだが。
 この魔法学校エターナル学園は、全寮制で優秀な人材を六年間という短い期間で育てるため少人数なのである。
「みなさん静かにしてください!これから学園長先生からのお話があります。」
 その声は入学式も終え、友達同士で生徒達が話している途中のものだった。静かにするように言われて静かにする子供なんてあまりいるもんじゃない。案の定、講堂は騒がしいままだった。
 そこへ一人の男が講堂の壇上の上へと上がっていく。そして、男が杖を一振りするとパーンッという音と共に無数の花が生徒達の頭上へと落ちていった。そして講堂は一面の花に覆われ、気付けば天井は青い空になり、虹まで架っていた。
 全ての生徒が目を丸くし、途端に拍手が巻き起こる。
「すごーい!」
「今のどうやったんだ。」
と様々な声が飛び交う。とくに新入生の感嘆の声は大きかった。
「皆さん、元気があることは良いですが人の話はしっかり聞くこと。わかりましたか?」
 壇上の上の男はそう言うと生徒達ににっこりと笑いかけた。ところが、リィートはその笑顔など見えてはいなかった。
(あんなのどうやるんだ?てーかめっちゃカッコイイじゃねえか!!誰なんだアイツ?先生なのか?)
「残念。あれは先生じゃないわよ。先生は先生だけどね」
 リィートは驚いて声の主の方を見る。サキだった。どうやら頭の中で考えているだけだと思っていたら声に出してしまっていたらしい。
「どういうことだよ?」
「あの人がここの学園の学園長、ケレル学園長先生よ。」
「な!あんなに若そうなのに学園長なのか!?」
「年なんて関係ないんじゃない?それにあの人あ―見えても二百歳って聞いてるよ。」
 サキのその言葉にリィートはかなり驚いたようだ。
「まじ?」
「ウィザードだもん。長生きだっておかしくないんじゃない?何でも出来るって聞いたし。」
「それでも…。」
「しっ!学園長がしゃべるみたいよ。」
 リィートは途中で話を切られてしまって少し機嫌を悪くしたが、そんなことで怒ってても馬鹿らしいと思いすぐに学園長の話に耳を傾けた。
 ケレルの話はコレと言って特別なものではなかった。入学の祝いの言葉、これからの学校生活について等、誰にでもできるような挨拶であった。
 ケレルの挨拶の後、この日の予定はすべて終わり、生徒達はそれぞれの寮へと戻っていった。
 この学園では全寮制のため寮がとてつもなく大きい。さながら一つのマンションだ。そこには一年から四年は四人、五年と六年では一人部屋が用意されている。後、遊戯室や食堂、自習室…外には公園まであるのだ。
 寮の生徒達はいそいそと自分の部屋に入り疲れを癒そうとする者や、対談室で友達と話している者、勉強をする者等様々だった。リィートは、話している者の一人だった。
「それにしても、ケレル…だっけ?学園長はすごいよなあ。」
 リィートは素直な気持ちを今、一番仲がよいサキに伝えていた。サキもそれに対しては同意見だった。そんなふたりの会話に一人の少年が割り込んできた。
「ふん。あれくらいできなきゃ、ウィザードなんて名乗れないだろう…。」
 二人はその声に反応して振り返る。そこには身長はリィートと同じくらい、目が大きく愛らしい…が今はニヤニヤとしていて嫌味ったらしい。
「おまえ誰だよ?」
「俺?カイン。」
「じゃあ、カイン。オレは素直にケレル学園長が凄いと思ったんだ。この感動に水を差さないでもらいたいんだけど?」
「ふーん…君ってあれくらいのことで感動するんだ。単純だね。」
「何だと…!!」
「ちょっと、やめなよリィート!問題起こしたらどうなるか!」
 急いで、サキが止めに入った。学園内では喧嘩や問題を起こした場合、その生徒は処罰を受け場合によっては退学もありえるのだ。
「わかってるよ!」
 リィートだってこのくらいのことで退学になるなんてバカバカしいと思っている。それでも腹が立つ。
リィートはカインを睨みつけた…がカインはサキの顔を見ている。心なしか顔が赤いような…。
「何よ。何でこっち見てるの…?」
 サキがかなり戸惑っている。この後のカインの言葉に二人は唖然とした。
「君…かわいいね。」
「「はー?」」
 よくもこんな状況でそんな事が言えるものだ…と二人はかなり呆れている。
「君、名前なんて言うの?」
「…へ?サキだけど。」
「サキちゃんって言うんだ。よかったら俺と友達になってよ。こんな単純な奴はほっといてさ。」
 いつの間にか、カインはサキの手を取っていた。サキは困っているというより混乱している。
「ちょっと待てよ!誰が単純だよ!お前だって何、初対面の相手に時めいてんだ!お前もかなり単純じゃねーか!」
「な!何言ってんだよ。かわいいもんはかわいいだろうが!単純とか関係ないだろ!」
「なんだと!!」
「なんだよ!!」
 二人がいがみ合っている間にいるサキは思った…。
「何か…似たもの同士…。」
 二人はサキの方を見て肩を落とした。どうやら思った…ではなく声に出してしまっていたようだ。しかし、このことがきっかけでこの後、三人は学園内で仲良し三人組として有名になっていくのであった。






BACK